相続した不動産の売却でかかる税金と節税対策について徹底解説!

「相続した不動産を売却するとどんな税金がかかるの?」「節税する方法はないの?」など、疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。

相続税の納税資金に充てるために相続した不動産を売却するという人も少なくありませんが、いくら税金がかかるのか把握しておかないと、後から多額の納税に苦しむことになります。

この記事では、「相続した不動産の売却にかかる税金」から「相続不動産の売却時に利用できる特例で節税する方法」について紹介していきます。

相続した不動産の売却でかかる税金

相続した不動産の売却でかかる税金は、以下の通りです。

  1. 登録免許税
  2. 譲渡所得税

相続登記で必要な登録免許税

相続した不動産を売却するためには、名義を被相続人から相続人に変更する「相続登記」をおこなう必要があります。

不動産の所有者が被相続人のままの不動産は、売却することができませんので注意してください。

そして相続登記をする際には、必ず登録免許税が課税されます。

登録免許税の金額は「固定資産税×0.4%」で、司法書士に支払う手数料に含まれている場合がほとんどです。

「相続した不動産を売却するのは少し先だから、その時に名義変更の手続きをしよう」と考えている人もいるかもしれませんが、相続登記は遺産分割協議が終わった際に速やかにおこなうことをおすすめします。

相続登記を後回しにすると、新たな相続が発生して問題が複雑化したり、他の相続人に不動産を勝手に売却されてしまったりするリスクがあるからです。

売却で利益が生じたときに支払う譲渡所得税

相続した不動産を売却して利益が生じた場合、利益に対して譲渡所得税が課税されます。

ただし単純に手元に入った金額を利益と考えるのではなく、以下の計算式で課税所得があった場合のみ税金が課せられます。

譲渡所得=売却代金-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

相続した不動産の取得費(購入金額)が不明である場合は、取得費の代わりに「売却代金×5%」を計算式に当てはめてください。

後述で詳しく解説しますが、特別控除の特例を利用することによって譲渡所得税を節約している人がほとんどです。

参考 土地や建物を売ったとき国税庁

相続不動産を売却したときの税金を節税できる特例

相続不動産を売却したときにかかる税金は、誰しもできるだけ節税したいはずです。

相続登記の際に課税される登録免許税は節税することができませんが、譲渡所得税においては減税できる可能性があります。

相続した土地や家などの不動産を売却したときに使える特例について紹介していきますので、賢く利用して節税しましょう。

ただし相続してからすぐに売却しないと適用を受けられないため、売却時期には注意が必要です。
相続発生から3年以内に売却すれば、以下の特例を利用できます。

被相続人の居住用財産を売ったときの特例

被相続人の居住用財産を売ったときの特例は、被相続人が住んでいた不動産を売却した場合は課税所得から3,000万円まで控除しても良い、というもので、「3,000万円の特別控除」と呼ばれています。

3,000万円の特別控除は、3,000万円までは課税所得がなかったことにしてもらえる、節税効果の高い特例です。

たとえば譲渡所得が1,000万円であった場合、本来であれば150万円の譲渡所得税が課税されます。

しかし3,000万円の特別控除の適用を受けることで、1,000万円の課税所得がなかったことになるため、150万円の税金を節約することができます。

参考 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例国税庁

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例は、相続税の一部を取得費に加算できるというものです。

取得費に加算できる金額は、以下の通りです。

相続税額×{不動産の価額÷(相続税課税価額+債務控除額)}

少し分かりづらいかもしれませんが、たとえば不動産3,000万円、現金などで3,000万円の合計6,000万円を相続して、1,100万円の相続税を払ったと仮定します。

この条件で上記の計算式にそれぞれ金額を当てはめると、取得費に加算できる金額は、「1,100万円×{3,000万円÷(6,000万円+0円)}=550万円」となります。

参考 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例国税庁

相続不動産を売却したら確定申告が必要

相続不動産を売却したら、確定申告をおこなう必要があります。

申告期間は、相続した不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日です。

申告期限までに確定申告をおこなわないと、無申告加算税と延滞税が課税されてしまう可能性がありますので、必ず期間内に確定申告をおこなってください。

また「相続人の代表者が確定申告をすれば良い」と勘違いしている人もいますが、確定申告は相続人全員がそれぞれおこなわなければならず、税金も別々に支払うことになりますので注意が必要です。

相続不動産の売却で利益が生じなかった場合は確定申告の必要はありませんが、上述で紹介した特例を受けるためには確定申告が必須になります。

確定申告が必要かどうかの判断で迷った場合、最寄りの税務署か、仲介依頼した不動産会社に問い合わせれば教えてもらうことができます。

申告漏れがあるとペナルティを受けますので、確定申告の要否はしっかりと確認したほうが良いでしょう。