もしも自分に万が一のことがあったときに、遺族に課税される相続税がいくらか知っていますか?
相続は、予期せぬタイミングで発生する場合がほとんどです。
思い立ったときにすぐに相続税対策を始めないと、家族や親族が多額の税金に苦しめられてしまうかもしれません。
この記事では、「不動産を活用した相続税対策とその注意点」について紹介していきますので、参考にしていただき、相続税対策について考えてみてください。
相続税対策とは
相続税対策とは、その名の通り、相続税を減らすためにおこなう対策のことです。
今まで「相続税は富裕層に課税されるもの」という認識が強かったのですが、平成27年1月に相続税改正が施行されてから、一般家庭でも相続税が課税されるケースが増え、相続税対策も身近なものになりました。
対策方法は様々ですが、ここでは節税効果の高い不動産を活用した相続税対策について紹介していきます。
不動産を活用した5つの相続税対策
不動産を活用した相続税対策は、以下の5つです。
- 相続時精算課税制度を利用して生前贈与をおこなう
- 賃貸アパートを建てる
- 不動産購入して現金を減らす
- 子供と同居する
- 不要な不動産を売却する
それぞれどんな節税効果が期待できるのかについて、紹介していきます。
相続時精算課税制度を利用して生前贈与をおこなう
相続時精算課税制度を利用して不動産の生前贈与をおこなえば、贈与税をおさえつつ、相続税を節約できる可能性があります。
相続時精算課税制度とは、親から子、または祖父母から孫へ財産を贈与するときに、贈与額2,500万円まで贈与税がかからなくなる制度です。
ただし相続時精算課税制度を利用して生前贈与した資産は、贈与者が亡くなったときに、相続財産の価額に入れられてしまうという点には注意してください。
ではどんな場合に効果的な制度かというと、収益性があり、評価が上がっていく見込みのある不動産の生前贈与に適しています。
相続時精算課税制度を利用して生前贈与した不動産は、贈与した時点での評価で遺産に加算されるため、評価が低いときに贈与しておくことで相続税を節約できます。
参考 No.4103 相続時精算課税の選択国税庁賃貸アパートを建てる
賃貸アパートを建てる方法は、不動産を活用した相続税対策の代表的な手法になります。
もともと賃貸アパートを経営している人は、法人化して会社設立すると、さらに節税効果が期待できるのでおすすめです。
ただしリスクも伴う方法になりますので、しっかりと検討する必要はあります。
不動産購入して現金を減らす
現金を不動産に換えることで、相続税評価額を下げられます。
なぜ不動産を購入することで相続税評価額を下げられるかというと、相続税の計算において土地は時価の8割、建物は時価の7割程度で評価されるからです。
子供と同居する
子供と同居すると「小規模宅地等の特例」の適用を受けられるようになり、大幅に相続税を減らすことができます。
小規模宅地等の特例とは、不動産の相続税評価額を8割控除してもらえる特例です。
たとえば建物の評価額が3,000万円だった場合、2割の600万円にのみ相続税が課税されます。
ただし小規模宅地等の特例は、同居していなかったとしても、家を持たない子供であれば適用を受けることができます。
不要な不動産を売却する
不要な不動産は、売却して現金に換えたほうが良いでしょう。
上述で不動産に換物したほうが良いと紹介しましたが、価値のない不動産を持っていても相続人に税金や維持費などの負担を負わせてしまったり、処分に困らせてしまったりするだけです。
でしたら売却して現金に換え、財源対策にもなる生命保険を活用して相続税対策をおこなったほうが、よっぽど節税効果が見込めます。
不動産を活用して相続税を節税するときの注意ポイント
不動産を活用して相続税を節税する際、借金しても相続税対策にはならないということと、対策をおこなう前に相続税額を把握しておくということには注意が必要です。
借金をしても相続税対策にはならない
相続税はプラスの財産からマイナスの財産を差し引いたものに対して課税されるため、「借金をすればマイナスの財産が増えて相続税対策になる」と勘違いしている人がいます。
相続税額を把握する
相続税対策をおこなう前に、まずは自分に万が一のことがあったときに、遺族にいくらの相続税がかかるのかを把握することが大切です。
相続税額を把握しないまま対策をおこなっても、本当にメリットのある対策をおこなうことはできません。
またいくら相続税がかかるのかによって生前贈与が良いのか、財産評価を下げる対策をしたほうが良いのか異なってきます。
土地・建物の相続税評価額の計算方法をわかりやすく解説「路線価方式・倍率方式」
おこなうべき相続税対策を明確にするためにも、まずは自分自身で相続税がいくらかかるのかシミュレーションしてみましょう。